情報はそのまま提示するだけでは、必ずしも相手に正しく伝わるとは限りません。
そこで重要になるのが「情報デザイン」です。
情報デザインとは、情報を受け手に分かりやすく、正確に伝えるための工夫のことです。
本記事では、情報Ⅰ(情報1)で扱う「抽象化」「可視化」「構造化」を中心に、その考え方を具体例とともに整理します。
情報デザインとは何か
情報デザインの目的
情報デザインとは、情報を受け手にとって理解しやすい形に整理・表現することです。
目的は次の通りです。
- 情報を正確に伝えること
- 必要な情報をすばやく理解させること
- 誤解を防ぐこと
伝わりやすさと分かりやすさの違い
- 伝わりやすさ:情報が相手に届くこと
- 分かりやすさ:情報の意味まで理解できること
情報デザインでは、両方を満たすことが重要です。
情報の抽象化
抽象化とは何か
抽象化とは、必要な情報だけを取り出し、不要な情報を省くことです。
情報を単純化することで、理解しやすくします。
例えば、地図の簡略化、アイコンやピクトグラムが抽象化に該当します。

地図の簡略化
通常の地図の場合、情報が多すぎて分かりにくい場合があります。
そのため、以下のように地図を抽象化します。
- 道路の形を単純な線で表す
- 建物を記号で表す
- 不要な細部を省く
これにより、必要な情報だけが受け手に伝わるようにできます。
アイコンとピクトグラム
アイコンやピクトグラムも抽象化の例です。
アイコンとは、特定の機能・意味・対象を視覚的に表現した記号や画像です。
ピクトグラムとは、言語に依存せず、誰でも直感的に理解できるようにした図記号です。
有名なピクトグラムに、非常口のピクトグラムがあります。このピクトグラムは、日本人によって考案されたもので、ISO規格に採用されています。
これらは細かな情報を省き、誰でも理解できる形にしています。
| 観点 | アイコン | ピクトグラム |
|---|---|---|
| 目的 | 操作・機能の理解 | 状況・行動の伝達 |
| 抽象度 | やや具体的 | 高い(単純化) |
| デザイン | 自由度が高い | 規格・統一性が重視 |
| 対象 | 特定ユーザー | 不特定多数(世界共通) |
情報の可視化
可視化とは何か
可視化とは、目で見て理解できる形(=視覚的)に情報を表すことです。
数値や関係を視覚的に示すことで、理解を助けます。
例えば、数値の羅列をグラフや表で表すことで、視覚的に数値の傾向を把握できる場合があります。
グラフや表で表す意味
数値データはそのままだと理解しにくい場合があります。
そこで、次のように表現します。
- 表:正確な数値を整理する
- グラフ:変化や比較を分かりやすくする
数値や関係を見やすくする工夫
- 棒グラフで大小を比較する
- 折れ線グラフで時間変化を見る
- 円グラフで割合を示す
目的に応じて表現方法を選ぶことが重要です。
情報の構造化
構造化とは何か
構造化とは、情報同士の関係を整理し、分かりやすく配置することです。
情報のまとまりや順序を明確にします。
図形表現で関係を整理する
構造化では、図を用いることが有効です。
- フローチャート:処理の流れ
- 関係図:要素同士のつながり
- 階層図:上下関係
これにより、情報の全体像が把握しやすくなります。
情報を分類し順序立てる考え方
- 種類ごとに分類する
- 手順ごとに並べる
- 重要度で整理する
このように整理することで理解しやすくなります。
情報デザインを支える考え方
究極の5個の帽子掛け、LATCHとは何か
情報を正しく、かつ、効率的に伝えるためには、情報を整理して伝えることが重要です。
これに役立つのがLATCH(究極の5個の帽子掛け)です。
LATCHとは、情報を整理するための5つの基準です。
- Location(位置)
- Alphabet(アルファベット順)
- Time(時間)
- Category(カテゴリ)
- Hierarchy(階層)
位置、アルファベット順、時間、カテゴリ、階層の整理
それぞれの特徴は次の通りです。
- 位置:地図や配置で整理する
- アルファベット順:名前順で並べる
- 時間:時系列で並べる
- カテゴリ:種類ごとに分ける
- 階層:重要度や上下関係で整理する
例えば、名前順で並べる場合の例でいえば、人名を表にまとめる場合、五十音順で記載したほうがわかりやすいです。
辞書や辞典でも五十音順で単語が並んでいます。
このように、情報を整理して伝えることで、相手に情報が伝わりやすいです。
場面に応じた使い分け
情報の内容によって、最適な整理方法は異なります。
目的に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。
多義図形から考える見え方の違い
多義図形とは何か
多義図形とは、1つの図形が複数の意味に見える図のことです。
例として、若い女性にも老女にも見える図があります。
同じ情報でも受け取り方が変わる理由
人は経験や先入観によって、見え方が変わります。
そのため、同じ情報でも異なる解釈が生じることがあります。
誤解を防ぐ情報デザインの工夫
- あいまいな表現を避ける
- 強調したい部分を明確にする
- 誰にでも同じように見える表現にする
情報デザインの具体例をまとめて整理する
抽象化、可視化、構造化の違い
| 分類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 抽象化 | 不要な情報を省く | 地図、アイコン |
| 可視化 | 見て分かる形にする | グラフ、表 |
| 構造化 | 関係を整理する | フローチャート、関係図 |
それぞれの例の比較
- 抽象化:シンプルにする
- 可視化:見やすくする
- 構造化:整理する
それぞれ役割が異なる点に注意が必要です。
注意したい点
情報を減らしすぎる問題
抽象化しすぎると、必要な情報まで失われることがあります。
強調のしすぎによる誤解
可視化で強調しすぎると、誤解を生む可能性があります。
受け手や目的に合わせる大切さ
情報デザインは、受け手や目的によって最適な形が変わります。
状況に応じて工夫することが重要です。
確認問題
【問題1】「抽象化」とは何か、最も適切な説明を選べ。
A. 情報を細かく詳しくすること
B. 必要な情報を取り出し、不要な情報を省くこと
C. 情報を図にすること
D. 情報を順番に並べること
【問題2】「構造化」の説明として最も適切なものを選べ。
A. 情報を減らすこと
B. 情報を色分けすること
C. 情報同士の関係を整理すること
D. 情報を絵にすること
【問題3】LATCHの5つの分類方法のうち、次の場面に最も適したものを選びなさい。
(1) 図書館の本を並べる
(2) 1日のスケジュールを整理する
(3) 地図で場所を示す
答え:【問題1】B 【問題2】C 【問題3】(1) Alphabet(五十音順)またはCategory(分類) (2)Time(時間) (3) Location(位置)
まとめ
情報デザインとは、情報を「伝わりやすく、分かりやすく」するための工夫であり、その基本となる考え方が「抽象化・可視化・構造化」です。
抽象化は不要な情報を省いて本質を取り出すこと、可視化は情報を目で見て理解できる形にすること、構造化は情報同士の関係を整理して全体像を把握しやすくすることを指します。
また、LATCHのような整理の基準を使うことで、情報を目的に応じて適切に並べることができます。さらに、多義図形のように、人によって見え方や解釈が変わることを理解することも、誤解を防ぐ上で重要です。
ただし、情報を単純化しすぎると必要な情報まで失われたり、強調しすぎると誤解を生んだりする可能性があります。そのため、受け手や目的に応じてバランスよく設計することが大切です。
情報デザインは、日常生活から学習、ビジネスまで幅広く活用できる考え方であり、「どう伝えるか」を意識することで、より正確で効果的なコミュニケーションにつながります。
