私たちが日常的に使っているコンピュータは、文字の入力や計算、動画の再生など、さまざまな処理を高速に行っています。
しかし、これらの処理はすべて、単純な命令の積み重ねによって実現されています。
コンピュータは、人間のように意味を理解しているわけではなく、「決められた手順」に従って順番に処理を進めているだけです。
このような処理の仕組みを理解することは、プログラミングや情報システムの理解の基礎となります。
高等学校「情報Ⅰ」では、コンピュータの基本的な構造として、ノイマン型コンピュータや五大装置、そして命令の実行手順について学びます。
本記事では、これらの内容を教科書レベルで整理し、コンピュータがどのように処理を行っているのかを体系的に理解できるようにします。
ノイマン型コンピュータとは
初期のコンピュータとの違い(エニアック)
初期の電子計算機であるENIAC(エニアック)は、プログラムを記憶装置に格納する方式ではなく、配線の変更によって処理内容を切り替えていました。
そのため、新しい処理を行うたびに人手で設定を変更する必要があり、柔軟性に課題がありました。
これに対してノイマン型コンピュータは、プログラムを記憶装置に格納することで、命令を順に読み出して実行できる仕組みを実現しています。
この違いにより、現在のコンピュータのようにソフトウェアによって処理内容を簡単に変更できるようになりました。
ノイマン型コンピュータとは、プログラムとデータを同じ記憶装置に格納し、順に命令を実行していく方式のコンピュータです。
プログラム内蔵方式の考え方
ノイマン型コンピュータでは、プログラムもデータと同様に主記憶装置に格納されます。
これを「プログラム内蔵方式」といいます。
この方式により、プログラムを変更するだけで様々な処理を行える柔軟性が実現されています。
命令とデータを主記憶装置に置く意味
命令とデータを同じ場所に置くことで、CPUは主記憶装置から命令を読み出して実行できます。
これにより、処理の流れを自動的に進めることが可能になります。
コンピュータの五大装置

コンピュータは、次の五つの装置で構成されています。
| 装置 | 役割 |
|---|---|
| 入力装置 | データや命令をコンピュータに入力する |
| 出力装置 | 処理結果を外部に出力する |
| 記憶装置 | データやプログラムを保存する |
| 演算装置 | 計算や論理演算を行う |
| 制御装置 | 全体の動作を制御する |
入力装置
キーボードやマウスなどが該当します。
データや命令をコンピュータに取り込みます。
出力装置
ディスプレイやプリンタなどが該当します。
処理結果を人が確認できる形で出力します。
記憶装置
記憶装置は、主記憶装置と補助記憶装置に分かれます。
- 主記憶装置:CPUが直接読み書きする作業領域
- 補助記憶装置:長期的にデータを保存する装置
主記憶装置は、メモリ(RAM)のことです。
補助記憶装置は、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)のことです。
演算装置
数値計算や論理演算を行う装置です。
加算や比較などの処理を担当します。
制御装置
各装置に指示を出し、処理の流れを管理します。
命令の解釈や実行の順序の制御を行います。
CPUとの関係
CPUは、演算装置と制御装置を一体化したハードウェアです。
つまり、計算を行う機能と、全体を制御する機能をあわせ持つ中枢装置です。
バスとの関係
上記の装置は、互いに独立しているのではなく、バスによって接続されています。
バスとは、各装置の間でデータや命令をやり取りするための信号の通り道のことです。
CPU、主記憶装置、入力装置、出力装置は、バスを通じて情報を受け渡しながら処理を進めます。
主なバスには、次のような種類があります。
- データバス:データそのものをやり取りする
- アドレスバス:データの場所(アドレス)を指定する
- 制御バス:制御信号をやり取りする
このように、五大装置はバスによって結びつけられることで、一体として機能しています。
CPUと主記憶装置を中心にした処理の流れ
コンピュータは、命令を順に実行することで処理を行います。
この処理は、一連の手順として繰り返し行われます。
命令が主記憶装置に読み込まれる
プログラムの実行が指示されると、入力装置や補助記憶装置から命令が主記憶装置に読み込まれます。
プログラムカウンタが次の命令を指す
CPUは、プログラムカウンタが示すアドレスから命令を読み込みます。
その後、プログラムカウンタを1つ進めて、次の命令を指すようにします。
CPUが命令を取り出して実行する
CPUは、読み込んだ命令を解釈し、必要に応じて演算装置で計算を行います。
また、制御装置が各装置に指示を出し、処理を進めます。
終了命令まで繰り返す
終了命令が現れるまで、この処理を繰り返します。
このように、命令を順に実行する処理を逐次処理といいます。
クロック周波数とは
クロック信号と処理のタイミング
コンピュータは、クロック信号という一定のリズムに合わせて動作します。
この信号により、各処理のタイミングが同期されます。
周波数が高いことの意味
クロック周波数とは、1秒間に何回クロック信号が発生するかを表す値です。
一般に、周波数が高いほど、単位時間あたりに多くの処理が可能になります。
周波数だけでは性能を決められない理由
ただし、実際の処理性能は、命令の実行効率や回路構成にも影響されます。
そのため、クロック周波数だけで性能を判断することはできません。
具体例で見る処理の仕組み
キーボードから入力した文字が表示されるまで
- 入力装置から文字が入力される
- 主記憶装置にデータが保存される
- CPUが命令に従って処理する
- 出力装置に結果が表示される
簡単な計算が実行されるまで
- 計算命令が主記憶装置に読み込まれる
- CPUが命令を取り出す
- 演算装置が計算する
- 結果が記憶され、出力される
実際に学んでわかりにくかったところ・覚え方
コンピュータの仕組みは、一つひとつの用語だけを見るとそれほど難しくありません。
ただ、私が学習したときは、装置同士の関係や命令が実行される順番まで含めて理解しようとすると、一気にわかりにくくなった記憶があります。
特に最初からすべてを理屈で理解しようとするよりも、ある程度は用語や役割を覚えてしまってから関係を整理したほうが理解しやすかったです。
五大装置そのものは比較的覚えやすかった
五大装置の「入力・出力・記憶・演算・制御」は、比較的覚えやすい内容でした。
キーボードなら入力、ディスプレイなら出力というように、身近な機器と結び付けられるからです。
一方で少し混乱したのが、CPUと五大装置の関係です。
最初はCPUも五大装置の一つのような感覚で覚えていましたが、CPUは基本的に「演算装置+制御装置」と考えると整理しやすくなりました。
CPU=演算+制御は、試験でも迷わないようにそのまま覚えてしまってよい部分だと思います。
主記憶装置と補助記憶装置は最初に丸暗記した
私が最初に少しわかりにくいと感じたのが、「主記憶装置」と「補助記憶装置」の違いです。
どちらも「記憶」と付いているため、最初は役割の違いが曖昧になりやすいところでした。
そこで、最初は細かく考えずに、主記憶装置=RAM=処理するときに使う場所、補助記憶装置=SSD・HDD=長く保存する場所と覚えました。
パソコンでソフトを起動すると、SSDなどに保存されているプログラムが主記憶装置へ読み込まれ、CPUが処理するという流れがわかってから、ようやく両者の違いをイメージできるようになりました。
最初は「処理中なら主記憶、保存なら補助記憶」と単純化して覚えてしまうと整理しやすいです。
命令の実行手順は用語だけではイメージしにくかった
個人的に一番わかりにくかったのは、CPUが命令を順番に実行する仕組みです。
「主記憶装置」「プログラムカウンタ」「CPU」といった用語を別々に覚えているだけでは、それぞれが何をしているのかなかなかつながりませんでした。
この部分は、命令を主記憶装置に置く→次の命令の場所を確認する→CPUが命令を取り出す→実行する→次の命令へ進むという一連の流れとして覚えると理解しやすくなりました。
特にプログラムカウンタは、名前だけでは役割を想像しにくかったので、私は最初のうちは「次に実行する命令の場所を覚えているもの」と割り切って覚えていました。
共通テストなどでは、各装置の名前だけではなく、「どの順番で処理されるか」を問われる可能性もあるため、流れで理解しておくほうが対応しやすいです。
バスの3種類は最初はほぼ丸暗記だった
データバス・アドレスバス・制御バスについては、私の場合、最初から仕組みを完全に理解したというより、まず役割をそのまま覚えました。
- データバス=データを運ぶ
- アドレスバス=場所を指定する
- 制御バス=制御信号を運ぶ
特に「アドレス」という言葉を、住所と同じように「データが置かれている場所」と考えるようになってから、アドレスバスの意味はかなりわかりやすくなりました。
この3種類については、ある程度丸暗記してしまっても問題ありません。その後、CPUと主記憶装置の間で何がやり取りされているのかを考えると、意味がつながってきます。
クロック周波数が高ければ必ず速いわけではない点に注意した
クロック周波数は、「1秒間に何回クロック信号が発生するか」と考えれば、それほど難しい内容ではありませんでした。
ただし、学習するときに注意したのが、クロック周波数が高いCPU=必ず性能が高いCPUではないという点です。
最初は「3GHzより4GHzのほうが必ず速い」と単純に考えたくなりますが、実際の処理性能には命令の実行効率やCPUの構造など、ほかの要素も関係します。
「クロック周波数が高いほど単位時間あたりの処理は多くできるが、クロック周波数だけではCPUの性能は決められない」とセットで覚えておくのがおすすめです。
最初から全部理解しようとしなくても大丈夫
この単元は、「なぜそうなるのか」を細かく考え始めると、情報Ⅰの範囲を超えてかなり深いところまで進めてしまいます。
私自身も、最初からコンピュータ内部の動きを完全にイメージできていたわけではありません。
まずは五大装置の役割、CPU=演算装置+制御装置、主記憶と補助記憶の違い、命令実行の大まかな順番を覚え、その後で各項目をつなげていくほうが理解しやすいと感じました。
特に情報Ⅰの学習では、細かなハードウェアの仕組みに入り込みすぎるよりも、「どの装置が何を担当し、どのような順序で処理されるのか」を説明できる状態を目指すとよいでしょう。
確認問題
【問題1】ノイマン型コンピュータの特徴として正しいものを1つ選びなさい。
1.プログラムは配線によって切り替える 2.プログラムとデータを同じ記憶装置に格納する 3.命令はすべて手動で入力する 4.演算装置がすべての制御を行う
【問題2】次のうち、コンピュータの五大装置に含まれないものを選びなさい。
1.入力装置 2.記憶装置 3.通信装置 4.制御装置
【問題3】次の処理の流れを正しい順番に並べ替えなさい。
1.CPUが命令を実行する 2.命令が主記憶装置に読み込まれる 3.プログラムカウンタが次の命令を指す
答え:【問題1】2 【問題2】3 【問題3】2→3→1
まとめ
コンピュータは、ノイマン型コンピュータの仕組みに基づき、五大装置が連携して動作しています。
CPUは演算装置と制御装置から構成され、主記憶装置から命令を順に取り出して実行します。
また、バスやクロック周波数は、その動作を支える重要な要素です。
これらの関係を体系的に理解することが、「情報Ⅰ」の基礎として重要です。
