私たちが日常的に使っているコンピュータやスマートフォンは、複雑な計算や判断を高速に行っています。
しかし、その内部では非常に単純な仕組みが繰り返し使われています。
その基本となるのが「論理回路」です。
論理回路とは、0と1で表される情報をもとに、決められた規則に従って出力を決定する回路です。
この仕組みによって、コンピュータは計算だけでなく、条件に応じた処理や判断も行うことができます。
情報Ⅰ(情報1)では、この論理回路の基本を学ぶことで、コンピュータの動作原理を理解することを目指します。
論理演算とは何か
2進数と真理値の考え方
論理回路では、すべての情報を0と1で表します。
- 0:偽(False)
- 1:真(True)
このように、真か偽かで表される値を「真理値」といいます。論理値や真偽値と呼ばれることもあります。
論理積、論理和、否定
基本となる論理演算は次の3つです。
- 論理積(AND):両方が1のときだけ1になる
- 論理和(OR):どちらか一方でも1なら1になる
- 否定(NOT):0と1を反転する
基本論理回路
論理回路は、電気信号(0か1)を入力として受け取り、一定のルールに従って出力を決める回路です。
AND回路、OR回路、NOT回路のことを基本論理回路といいます。この3つだけで全ての論理回路が作ることができます。
AND回路

上の図は、AND回路の記号と、AND回路の出力を表すベン図です。
本記事での論理回路の記号は、ANSI(米国国家規格協会)の論理回路記号です。JISでも論理回路の記号は定められていますが、私の知る限りでは、実務現場ではANSIの記号のほうが圧倒的に多く使われています。
ベン図は、2つの入力ABと出力との関係を表すのに用います。ベン図では、条件を満たす領域(重なっている部分など)が1を表します。つまり、上の図では入力Aと入力Bの両方が1のときに、出力は1になります。
AND回路の入力と出力との関係を表にまとめると、以下のようになります。このように、入力と出力の関係を表にまとめたものを「真理値表」といいます。
AND回路は、入力Aと入力Bの両方が1のときに出力が1になります。
| 入力A | 入力B | 出力(AND) |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
OR回路

OR回路の記号とベン図は上のようになります。
OR回路は、どちらか一方でも1であれば出力が1になります。
| 入力A | 入力B | 出力(OR) |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 1 |
NOT回路

NOT回路の記号とベン図は上のようになります。
NOT回路は、入力を反転します。
| 入力 | 出力(NOT) |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 0 |
半加算器と全加算器
半加算器の仕組み

半加算器は、上の図のように、AND回路、OR回路、NOT回路の組み合わせによって構成されます。
半加算器は、2つの1ビットの数を加算する回路です。2つの1ビットの計算には、以下の4つのパターンがあります。なお、1+1の出力が2ビットになるため、出力は2ビットで統一することにします。
- 0+0=00
- 0+1=01
- 1+0=01
- 1+1=10
ここで、出力の1桁目(最下位)のビットを和とします。出力の2ビット目は、桁が上がった場合に1となります。このため、出力の2ビット目を桁上がりとします。
半加算器の出力は「和」と「桁上がり」です。真理値表は、以下のようになります。
| A | B | 和 | 桁上がり |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 0 |
| 1 | 1 | 0 | 1 |
全加算器の仕組み

全加算器は、上の図のように、2つの半加算器とOR回路の組み合わせによって構成されます。
全加算器では、3つの入力を扱います。Cは、前の桁からの桁上がりです。これにより、下からの桁上がりを考慮した加算器を構成できます。
複数を組み合わせることによって、任意の桁の加算器をつくることができます。
ロジックICとは何か
論理回路を部品として実現する
ロジックICとは、複数の論理回路を1つの部品としてまとめた集積回路です。
AND回路やOR回路などが、ICとして提供されています。
CPUとの違い
ロジックICとCPUはいずれも1と0を扱うデジタル回路です。しかし、その役割と機能には大きな違いがあります。
ロジックICはANDやORなどの基本的な論理演算を行う単機能の部品であり、決められた動作のみを実行します。
一方、CPUはそれらの論理回路を大量に組み合わせた高度な集積回路で、演算に加えて命令の解釈や処理の制御、データの記憶を行うことができます。つまり、ロジックICは「計算そのもの」を担う要素であり、CPUはそれらを活用して「処理全体を実行する中枢装置」と位置づけられます。
両者は階層的な関係にあり、CPUはロジックICの機能を内包した発展形であるといえます。
| 観点 | ロジックIC | CPU |
|---|---|---|
| 役割 | 単機能の論理回路 | コンピュータの中枢 |
| 機能 | AND・OR・NOTなどの演算のみ | 演算+制御+記憶 |
| 柔軟性 | 固定(変更不可) | プログラムで変更可能 |
| 構造 | シンプル(小規模) | 非常に複雑(大規模) |
| 内部 | 少数の論理回路 | 大量の論理回路の集合 |
| 用途 | 回路の部品として使用 | システム全体の制御 |
確認問題
【問題1】論理回路とは何か。
【問題2】正しいものをすべて選べ。
1. 0は「真」、1は「偽」
2. 1は「真」、0は「偽」
3. 論理回路では2進数を用いる
4. 論理回路では10進数を用いる
【問題3】次の説明に当てはまる回路名を答よ。
1.両方が1のときだけ1になる
2.どちらかが1なら1になる
3.入力を反転する
【問題4】次の表は、OR回路の真理値表である。ABCDに入る数値を答えよ。
| A | B | 出力 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | A |
| 0 | 1 | B |
| 1 | 0 | C |
| 1 | 1 | D |
答え:【問題1】0と1の信号をもとに、決められた規則で出力を決める回路 【問題2】2,3 【問題3】1→AND回路、2→OR回路、3→NOT回路 【問題4】A→0、B→1、C→1、D→1
まとめ
論理回路は、コンピュータの基本的な仕組みを理解するための重要な内容です。
- 0と1による論理演算が基礎になる
- 基本論理回路の組合せで複雑な処理を実現する
- 加算器は計算処理の基本となる回路である
これらを体系的に理解することが、情報の科学的な理解につながります。
