高校3年生のお子さんが共通テストを受験する保護者の方の中には、「情報Ⅰはどのくらい難しいのだろう」「用語を覚えておけば点数を取れるのだろうか」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
情報Ⅰでは、情報セキュリティやネットワーク、情報デザイン、プログラミング、データの活用など、幅広い内容を学習します。
ただし、共通テストの情報Ⅰで重要なのは、これらの知識を覚えることだけではありません。
共通テストの情報Ⅰは、知識だけでは対応しにくく、問題文や図表から情報を読み取り、学習した知識を使って考える力が必要な科目です。
この記事では、高校3年生の保護者の方に向けて、2025年と2026年の共通テストの問題を例にしながら、情報Ⅰの難易度と対策の考え方を解説します。
共通テスト「情報Ⅰ」はどのくらい難しいのか
情報Ⅰは100点満点の共通テスト科目
共通テストの情報Ⅰは、100点満点で出題されます。
高校で学習する共通必履修科目の「情報Ⅰ」が出題範囲の基本です。
情報Ⅰでは、主に次の4つの内容を学びます。
- 情報社会の問題解決。
- コミュニケーションと情報デザイン。
- コンピュータとプログラミング。
- 情報通信ネットワークとデータの活用。
ここで保護者の方に知っておいてほしいのは、情報Ⅰが単なる「パソコンの知識を覚える科目」ではないということです。
学習指導要領では、情報Ⅰについて、情報技術を活用しながら問題の発見や解決を行うことが重視されています。
つまり、最初から知識を覚えるだけではなく、その知識を問題解決に利用することまで含めた科目として設計されています。
学習範囲そのものは高校「情報Ⅰ」の範囲
共通テストで扱われる内容そのものは、高校の情報Ⅰの学習範囲が基本です。
一方で、教科書に書かれている用語をそのまま答えるだけの問題ばかりでもありません。
教科書で学んだ基本事項を利用して、初めて見る場面について考える必要があります。
情報Ⅰの教科書自体は、頁数も少なく、簡単に思えるかもしれません。しかし、内容自体は結構難しいです。具体的には、私自身が大学で学んだ内容が情報Ⅰの教科書には載っています。
工学部を卒業された保護者の方は、一度、情報Ⅰの教科書を読むことをおすすめします。「高校の段階から、この内容を学習するのか…」と驚くと思います。
実際の問題を見ると「知識だけでは対応しにくい」
用語を覚えるだけでは解けない問題が多い
情報Ⅰの共通テストでは、用語を覚えるだけでは解けない問題が多いです。
もちろん、知識が必要な問題はあります。
例えば2025年の問題では、デジタル署名やIPアドレスなどについて問う問題が出題されています。
このような問題を解くには、情報セキュリティや情報通信ネットワークについての基本的な知識が必要です。
しかし、共通テスト全体を見ると、「用語の意味を覚えているか」だけで終わる問題ではありません。
問題文で示された条件を整理したり、図を読み取ったり、プログラムの処理を追ったりしながら答える問題が含まれています。
情報Ⅰでは、知識は問題を解くための出発点です。
知識がなくてもよいわけではありませんが、知識だけでも十分ではありません。
問題文や図表から必要な情報を読み取る力が必要
共通テストの情報Ⅰでは、問題文の中に解答に必要な条件が示されていることがあります。
そのため、教科書に書かれている内容だけを思い出そうとするのではなく、問題文に書かれている情報を正確に読み取る必要があります。
情報Ⅰの過去問では、図や表を使った問題が非常に多いです。この手の問題は、知識だけでは対応できないことが多いです。
例えば2025年には、工芸部で工芸品を部員に割り当てるという場面を使った問題が出題されています。
誰が次の工芸品を担当するのかという規則を理解したうえで、配列や繰り返し、条件分岐を含むプログラムの処理を考えます。
この問題では、単に「配列とは何か」「繰り返しとは何か」を覚えているだけでは十分ではありません。
まず工芸品を割り当てる規則を理解し、それがプログラムのどの処理に対応しているのかを考える必要があります。
初めて見る設定でも考えて答える必要がある
情報Ⅰでは、受験生が授業でそのまま見たことのない場面が問題として設定されることがあります。
しかし、これは学習範囲外の内容を答えさせているという意味ではありません。
問題文で設定や条件を説明し、それまでに学習した考え方を利用して判断させる形式です。つまり、知識をどのように活用して問題を解くかが求められています。
2026年の問題では、クロスステッチの図案をコンピュータで表現する場面が使われています。
縫うマスと縫わないマスを二つの状態として表し、それを2進法や16進法と結び付けて考えます。
クロスステッチそのものについて詳しい知識が必要なのではありません。
重要なのは、問題文から表現方法の規則を理解し、2進法や16進法について学習した内容を適用することです。
「見たことのない題材が出たから解けない」と考えてしまうと、情報Ⅰでは得点しにくくなります。
題材ではなく、問題の中で使われている情報Ⅰの考え方を見つけることが重要です。
2025年と2026年の共通テストから見る情報Ⅰの難易度
情報セキュリティやネットワークなどの知識問題
情報Ⅰでは、基本的な知識を直接確認する問題も出題されます。
例えば、情報セキュリティ、デジタル署名、IPアドレス、ネットワークなどについて、正しい説明を選ぶ問題があります。
この部分については、教科書に出てくる基本用語を正確に理解することが大切です。
ただし、似た用語を単語として覚えるだけではなく、「何のための技術なのか」「どのような仕組みなのか」まで理解しておく必要があります。
2進法や情報量を使って考える問題
コンピュータでは、情報を0と1の組合せによって表現します。
そのため情報Ⅰでは、2進法や16進法、ビットなどについて学習します。
共通テストでは、単純に2進数を10進数へ変換するだけではなく、実際の情報の表現と組み合わせた問題が出題されることがあります。
2026年のクロスステッチを題材とした問題は、その一例です。
図を読み取り、どのマスが1でどのマスが0なのかを判断し、それを2進法や16進法による表現につなげて考えます。
計算方法を覚えるだけでなく、何を数値として表しているのかを理解することが重要です。
つまり、2進数の計算方法を覚えるだけでなく、更に思考することが求められます。
プログラムの処理を読み解く問題
保護者の方が特に難しく感じやすいのが、プログラミングの問題かもしれません。
しかし、情報Ⅰのプログラミングでは、特定のプログラミング言語の細かな文法を大量に暗記することが目的ではありません。
学習指導要領でも、目的に応じたアルゴリズムを考え、プログラムによって問題を解決する力が重視されています。
2025年には、工芸品の担当を決める処理がプログラムとして表現されています。
2026年には、文化祭のゲームを体験する来訪者の待ち時間を求める問題が出題されています。
2026年の問題では、来訪者の到着時刻やゲームの開始時刻、終了時刻などを配列で管理しながら、待ち時間を計算する処理を考えます。
さらに、条件を変更したときにプログラムをどのように修正すればよいのかについても考える必要があります。
このような問題では、プログラムを上から眺めるだけではなく、変数や配列の値がどのように変化するのかを順番に追う力が必要です。
つまり、プログラムを見て、そのプログラムが実行されたときに、どのような動作が行われるかを想像する必要があります。
プログラムの細かな文法を大量に覚える必要はありませんが、教科書に出てくるコマンドは最低限覚えましょう!
データやグラフを分析して判断する問題
情報Ⅰでは、データの活用も重要な学習内容です。
2025年には、都道府県ごとの旅行者数について、散布図や相関係数などを利用して分析する問題が出題されています。
さらに、単純な旅行者数だけではなく、人口で割った新しい指標を用いて比較する場面もあります。
ここでは、グラフを読むだけでなく、「このグラフから何がいえるのか」を判断する必要があります。
例えば、相関があることと、一方がもう一方の原因であることは同じではありません。
データから読み取れる範囲を正確に判断することが大切です。
2026年には、桜の開花日のデータを分析する問題が出題されています。
欠損値の扱いや、目的に適したグラフの選択などについて考える内容が含まれています。
このように、データ分野でも用語を知っているだけではなく、目的に応じてデータをどのように整理し、どのように読み取るかが問われます。
情報Ⅰで求められるのは「知識」と「考える力」
基本用語や仕組みを理解していることが前提
「知識だけでは対応しにくい」と聞くと、暗記は必要ないと思ってしまうかもしれません。
しかし、それは誤りです。
基本的な知識がなければ、問題文を読んでも何を問われているのか判断できません。
例えば、IPアドレス、情報セキュリティ、2進法、配列、相関係数などの基本事項は理解しておく必要があります。
そのうえで、その知識を問題に合わせて利用します。
情報Ⅰの対策は、「知識か思考力か」ではなく、「知識を身に付け、その知識を使って考えられるようにすること」が重要です。
知識を問題の場面に当てはめる力が必要
共通テストでは、学校生活や社会生活に関連した具体的な場面が問題として設定されます。
文化祭、旅行、Webサービス、データ分析など、さまざまな題材が使われます。
受験生は、その文章を読んで必要な条件を整理し、情報Ⅰで学習した内容と結び付けます。
この作業は、単語帳を繰り返し覚えるだけでは身に付きにくいものです。
実際の問題を解きながら、考える練習をする必要があります。
長い問題文を整理しながら解く力も重要
情報Ⅰの問題では、設定を説明する文章や図、表、プログラムなどが組み合わされることがあります。
そのため、「情報量が多くて難しい」と感じる受験生もいるでしょう。私が見ても、難しく感じます。
ただし、すべての文章を同じように覚える必要はありません。
- 何を求める問題なのか。
- どの条件が重要なのか。
- どの図や表を利用するのか。
- どの値が変化するのか。
このように情報を整理しながら読む習慣を付けることが重要です。
保護者から見ると難しく感じやすい理由
親世代が高校で学んでいない内容が多い
情報Ⅰには、プログラミングやデータ分析、情報セキュリティなどが含まれています。
保護者の方が高校生だったころには、現在と同じ内容を必履修科目として学習していない場合があります。
そのため、問題を見ると必要以上に難しく感じることもあるでしょう。
大学で情報通信を学習した私でも、難しいと感じる問題は多くあります。
プログラミングだけが情報Ⅰではない
情報Ⅰと聞くと、「プログラミングの科目」と考える方もいます。
しかし、実際にはプログラミングだけを学ぶ科目ではありません。
情報社会の問題、情報デザイン、ネットワーク、情報セキュリティ、データ分析なども重要な学習内容です。
そのため、「プログラミングができれば情報Ⅰは大丈夫」と考えるのも適切ではありません。
幅広い分野の基本事項を学習する必要があります。
例えば、情報Ⅰの学習内容には、法律も含まれています。
高校3年生はどのように対策すればよいのか
まずは教科書レベルの基本事項を理解する
最初に必要なのは、教科書レベルの基本事項を確実にすることです。
用語集だけを暗記するのではなく、用語の意味や仕組みを説明できる状態を目指します。
例えば「デジタル署名」という言葉を覚えるだけでなく、何を確認するために利用するのかまで説明できるようにします。
プログラミングでも、命令の書き方だけでなく、その命令によって何が起こるのかを理解することが大切です。
共通テスト形式の問題に慣れる
基本事項を学習した後は、実際の共通テスト形式の問題を解く必要があります。
特に重要なのは、答え合わせをして終わりにしないことです。
間違えた原因を確認します。
- 知識を覚えていなかった。
- 問題文の条件を読み落とした。
- 図やグラフを正しく読めなかった。
- プログラムの処理を追えなかった。
- 選択肢の意味を正確に比較できなかった。
原因によって、必要な対策は異なります。
間違えた問題は「なぜそうなるのか」まで確認する
情報Ⅰでは、正解の番号だけを覚えても十分な対策にはなりません。
「なぜこの選択肢が正しいのか」「なぜ他の選択肢は適切ではないのか」を説明できるようにすることが重要です。
プログラミングでは、変数や配列の値を紙に書きながら処理を追う方法も有効です。
データ分析では、グラフのどの部分を根拠に判断したのか確認します。
この積み重ねによって、初めて見る問題にも対応しやすくなります。
保護者ができるサポート
「暗記すれば大丈夫」と考えない
保護者の方ができる重要なサポートの一つは、情報Ⅰを単純な暗記科目として扱わないことです。
用語を覚える勉強も必要ですが、それだけで共通テスト対策が完成するわけではありません。
問題演習に時間が必要であることを理解しておくことが大切です。
演習する時間を確保できるようにする
高校3年生は、英語や数学、国語、理科、地理歴史など複数の科目を同時に勉強します。
そのため、情報Ⅰは後回しになってしまうことがあります。
しかし、共通テスト形式の問題を読み解く力は、直前に用語を詰め込むだけでは身に付きにくいものです。
基本事項の確認と問題演習を組み合わせて、継続的に学習することが重要です。
私の場合、食事の時間に情報Ⅰの一問一答問題を出題していました。
点数だけでなく苦手分野を確認する
模擬試験や過去問題を解いたときは、合計点だけを見るのではなく、どこで失点したのかを確認するとよいでしょう。
例えば、知識問題は解けているのにプログラミングで失点しているのであれば、処理を追う練習が必要です。
データ分析で失点している場合は、散布図や箱ひげ図などの読み取りを確認します。
「情報Ⅰが苦手」とまとめて考えるのではなく、苦手な部分を具体的にすると対策しやすくなります。
まとめ|情報Ⅰは知識だけでは対応しにくい科目
共通テストの情報Ⅰでは、情報セキュリティやネットワーク、情報の表現、プログラミング、データの活用など幅広い内容が出題されます。
基本的な知識を身に付けることは必要ですが、それだけで十分ではありません。
2025年と2026年の問題を見ても、具体的な場面を読み取り、図や表を分析したり、プログラムの処理を追ったりしながら答える問題が出題されています。
情報Ⅰは、知識だけでは対応しにくく、「知っていることを使って考える力」が重要な科目です。
そのため高校3年生の受験対策では、教科書レベルの基本事項を理解したうえで、共通テスト形式の問題を実際に解くことが大切です。
保護者の方も、「情報Ⅰは暗記すれば短期間で何とかなる科目」と考えるのではなく、問題を読み解く演習が必要な科目だと理解しておくとよいでしょう。
