大学入学共通テストで「情報Ⅰ」が出題されるようになり、国公立大学を中心に対策が必要になりました。
一方で、受験勉強全体を考えると、情報Ⅰばかりに時間を使うわけにはいかない受験生も多いでしょう。
英語や数学、国語、理科、地理歴史、公民など、配点の大きい科目を優先したい人もいます。
そもそも情報Ⅰが苦手で、勉強してもなかなか点数が伸びないという人もいるでしょう。
この記事は、情報Ⅰで満点や9割を目指す人のための記事ではありません。
情報Ⅰに使える勉強時間が少ない受験生が、大きな失点を防ぐことを目的としています。
情報Ⅰを完全に捨てるのではなく、限られた時間でどのように問題を解けばよいのかを考えていきます。
情報Ⅰは優先度を下げられやすい科目
情報Ⅰは共通テストの出題科目ですが、受験生によっては他の科目よりも勉強の優先度が低くなりやすい科目です。
その理由の一つが、大学によって情報Ⅰの扱いが大きく異なることです。
大学によっては情報Ⅰの配点が低い
共通テストの「情報Ⅰ」は100点満点ですが、大学が合否判定に利用するときに、その100点をそのまま100点として扱うとは限りません。
大学や学部によっては、一定の割合で換算して利用します。
たとえば、100点を数十点相当に換算する方式であれば、同じ10点の失点でも、合否判定上の影響は小さくなります。
このため、「情報Ⅰに時間を使うより、配点の大きい英語や数学を伸ばした方がよい」と判断する受験生もいるでしょう。
この考え方自体は間違いとはいえません。
受験勉強では、限られた時間をどこに使うかを考える必要があるからです。
ただし、情報Ⅰの配点や換算方法は大学、学部、入試方式によって異なります。
前年と同じとは限らないため、必ず自分が受験する年度の募集要項を確認してください。
私立大学では情報Ⅰを使わない場合もある
私立大学では、大学や学部、入試方式によって必要となる教科が異なります。
英語、国語、数学などを中心とした方式を利用し、情報Ⅰを合否判定に利用しない受験生もいます。
そのような受験生にとっては、当然ながら情報Ⅰの優先順位は低くなります。
一方、共通テスト利用方式などでは情報Ⅰを利用できる場合もあるため、「私立大学だから情報Ⅰは必要ない」と決めつけるのも適切ではありません。
自分が実際に利用する入試方式を基準に判断しましょう。
二次試験の勉強と両立しにくい
英語や数学などは、共通テスト対策と個別学力検査の勉強が重なる場合があります。
一方、個別学力検査で情報を課さない大学を受験する場合、情報Ⅰは共通テストのために独立して対策する科目になりやすくなります。
そのため、二次試験の配点が大きい受験生ほど、情報Ⅰに長時間を使いにくくなるでしょう。
それでも情報Ⅰを完全に捨てるのは危険
情報Ⅰの優先順位を下げることと、まったく対策しないことは別です。
情報Ⅰを利用する大学を受験するのであれば、完全に捨ててしまうことにはリスクがあります。
配点が低くても失点すれば総合点は下がる
情報Ⅰの点数が圧縮される大学であっても、基本的には得点が高い方が総合点は高くなります。
たとえば、100点を20点に換算する大学を仮定します。
情報Ⅰで80点なら、換算後は20点です。
情報Ⅰで30点なら、換算後は6点です。
差は10点になります。
100点満点のときほど大きな差ではありませんが、合否判定に使われる点数である以上、無視できるとは限りません。
特に合格最低点付近では、この差が影響する可能性があります。
数点の差が合否を分けることもある
大学入試では、総合点で合否が判定されます。
そのため、「情報Ⅰで多少失点しても大丈夫」と最初から考えるのは危険です。
英語や数学で思ったように得点できない可能性もあります。
本番では、得意科目で予定より失点することもあります。
そのようなとき、情報Ⅰで確保した数点が結果的に重要になることがあります。
情報Ⅰの目標を「高得点を取る科目」ではなく「余計な失点をしない科目」と考える方法もあります。
まずは志望校の配点と利用方法を確認する
勉強を始める前に、最初に確認したいのが志望校の配点です。
確認するものは次のとおりです。
- 情報Ⅰを利用するか。
- 共通テスト100点を何点に換算するか。
- 共通テスト全体が何点分あるか。
- 個別学力検査との配点比率はどうなっているか。
- 自分が利用する入試方式で情報Ⅰが必要か。
情報Ⅰにどれだけ時間を使うべきかは、この条件によって変わります。
情報Ⅰが苦手な人の共通テスト対策の基本方針
情報Ⅰに多くの時間を使えない場合、勉強の目的を明確にしましょう。
おすすめなのは、満点を目指すのではなく、大きな失点を防ぐことです。
高得点ではなく大失点を防ぐことを目標にする
苦手科目で高得点を目指すと、多くの勉強時間が必要になることがあります。
一方、基本問題や標準的な問題を中心に得点するのであれば、学習範囲をある程度絞ることができます。
難しい問題をすべて解けるようにするのではなく、解ける問題を確実に取ることを優先します。
全範囲を完璧にしようとしない
情報Ⅰでは、次の4つの内容を学習します。
- 情報社会の問題解決。
- コミュニケーションと情報デザイン。
- コンピュータとプログラミング。
- 情報通信ネットワークとデータの活用。
どれも情報Ⅰの学習内容なので、基本事項は確認しておく必要があります。
ただし、細かい内容まで最初からすべて完璧にする必要はありません。
勉強時間が限られているなら、まず共通テスト形式の問題を解き、自分が失点している原因を確認しましょう。
基本知識と問題の読み方を優先する
情報Ⅰでは、知識だけを暗記すればすべての問題が解けるわけではありません。
学習指導要領でも、情報Ⅰでは知識や技能だけでなく、問題の発見や解決に向けて情報と情報技術を活用する力が重視されています。
そのため共通テスト対策でも、用語を覚えることに加えて、問題文や資料を正確に読み取る練習が重要です。
最低限の勉強で失点を抑えるための共通テスト攻略法
最低限の勉強で失点を抑えるための共通テスト攻略法と聞くと、非常に怪しいと感じるかもしれません。
しかし、情報Ⅰに関しては、このような魔法のような話があります。
その攻略法とは、ずばり「常識で解く!」です。
情報Ⅰの共通テストでは、情報に関する知識がなくても、常識で解ける問題が出題されることがあります。情報の知識が必要な問題は捨てて、これらの問題さえ解けば、失点を最低限に抑えることができます。
情報の知識がなければ解けない問題も多くあるので、情報Ⅰで高得点を目指す方は、しっかりと情報の勉強をした上で共通テストに臨みましょう。
具体例
本当に常識で解けるの?という方も多いと思うので、具体例を挙げて説明したいとおもいます。
2025年の第2問は、全ての問題が常識で解ける内容になっているとおもいます。
2025年の第2問Aでは、高校生が職業体験でスーパーマーケットを訪れるという設定が使われています。問題には、レシート、ポイントカード、店舗、本部、メーカー、配送センター、ネットショッピングなどが登場します。
2025年の第2問Bは、サークルの集金でおつり(千円札)が不足しないように準備する枚数を計算する「シミュレーション」の問題です。プログラミングやシミュレーションと聞くと身構えてしまうかもしれませんが、やっていることは「日常のお金計算のルール当てはめ」にすぎません。
ここで重要なのは、知らない用語が少しあったとしても、問題全体を諦めないことです。
なお、共通テストの過去問は、以下で公開されているので、問題は以下で確認してください。
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/kakomondai/
2025年 第2問Aの問1:レシートから必要な情報を選ぶ
第2問Aの問1では、レシートに印字された情報を使って分析を行う場面が出てきます。
時間帯ごとの総売上額を調べたい場合に、レシートに印字された情報のいずれが必要かが問われます。
必要なのは、何時に買われたのかという購入時刻と、その買い物でいくら売れたのかという合計金額です。
これは難しい情報用語を知らなくても、「時間帯別の売上を調べるなら、時間と金額が必要だろう」と考えることができます。
曜日別に各商品の購買状況を調べたい場合も同じです。何曜日に、どの商品が、何個売れたのかが必要になります。
問題文に書かれている目的から逆算して、「その分析をするためには、どの情報が必要なのか」を考えればよいわけです。この問題は、常識があれば解ける問題と考えていいとおもいます。
2025年 第2問Aの問2:レシートのデータから「得られない」情報
第2問Aの問2では、レシートに印字された情報から得られない情報が何かが問われます。この問題の解答は、「顧客が商品を購入した理由」です。
レシートと会員カードのデータには、「いつ・誰が・何を・いくらで買ったか」という事実が記録されます。
しかし、レシートから商品を購入した理由はわかりません。
問題に図示されているレシートには当然、商品を購入した理由は記載されていません。
そもそも、商品を購入するときに、購入の理由なんて聞かれませんよね。聞かれてもいない購入の理由がレシートから把握できたらおそろしいですよね。難しいことは考えずに、常識で考えればいい問題です。
2025年 第2問Aの問3:情報の流れ
第2問Aの問3は、システムを構成する各装置間の情報の流れについて問う問題です。
店コードは、「どの店舗の情報かを識別するデータ」です。店舗から本部へ売上を送るとき(い)はもちろん、本部から配送センターへ「どの店舗に配送するか」を指示するとき(あ)にも必要になります。よって「あ、い」が含まれる選択肢が正解です。
ポイント会員IDは、顧客がレジでカードを提示した瞬間(う)に発生し、それが店舗から本部へ売上情報として送信(い)されます。配送センターとのやり取り(あ)に個人のポイント会員IDは無関係です。よって「い、う」が含まれる選択肢が正解です。
お店のレジから本部、倉庫へのデータの移動を「物流と情報の流れ」として順を追って想像すれば解ける問題です。
2025年 第2問Aの問4:システムを構築する際の条件
第2問Aの問4は、システムを構築する際に必要な条件を問う問題です。
問題文の「実現したいこと」と「必要な準備」をパズルのようにつなぎ合わせることで解くことができます。
メリットⅠ(ログイン時に実店舗のチラシやポイント表示)を実現するためには、実店舗の会員とネットのアカウントが同一人物だと紐付いている(あ)必要があります。
メリットⅡ(ネットで商品を購入する際、よく使う近隣店舗の在庫状況を表示)を実現するためには、会員の同一視(あ)に加え、同じ商品を特定するための共通商品コード(い)、及び実店舗の在庫を調べる機能(う)のすべてが必要です。
メリットⅢ(購買傾向が似ている他顧客のデータからおすすめを表示)を実現するためには、 実店舗とネット双方の履歴を合算して分析するため、会員IDとアカウントの紐付け(あ)や商品コードの一致(い)が必要です。
この問題に関しては、そもそも情報の知識があっても解けない問題で、問題自体が国語力を試す問題だと思います。
2025年 第2問Bの問1:おつり準備シミュレーション
第2問Bの問1では、10人から6000円ずつ集金するとき、おつり用の千円札を何枚準備するかをシミュレーションしています。
以下のように、ルールは非常にシンプルです。
- 千円札6枚で支払い→手元の千円札が+6枚
- 一万円札1枚で支払い→手元の一万円札が+1、おつりによって手元の千円札が-4枚
表を上から順に更新していき、最もマイナスが大きくなった数字(最小値)を確認します。 仮に途中で最大「8枚不足(-8)」まで落ち込んだとしたら、あらかじめ「8枚」手元に用意しておけばマイナスにならず(おつり切れにならず)に済むというロジックです。 四則演算(足し算・引き算)ができれば誰でも解くことができます。
四則演算によって、問題の表を埋めると以下のようになります。
| 乱数 r の値 | 手元の一万円札の枚数 | 手元の千円札の枚数 | |
|---|---|---|---|
| 初期値 | ― | 0 | 0 |
| 1人目 | 8 | 1 | −4 |
| 2人目 | 1 | 1 | 2 |
| 3人目 | 6 | 2 | −2 |
| 4人目 | 10 | 3 | −6 |
| 5人目 | 9 | 4 | −10 |
| 6人目 | 4 | 5 | −14 |
| 7人目 | 5 | 6 | −18 |
| 8人目 | 3 | 6 | −12 |
| 9人目 | 7 | 7 | −16 |
| 10人目 | 2 | 7 | −10 |
2025年 第2問Bの問2:グラフ読み取り問題
第2問Bの問2は、問1のシミュレーションを10000回試行したグラフから、正しい選択肢を選ぶ問題です。
「全員が一万円札で支払うケースはなかった」→ 全員(10人)が一万円札の場合、4枚×10人=40枚になります。グラフを見ると「-40」のところに回数(バー)が存在しているため、このケースは「あった」と判断でき、不適です。
「最後まで千円札が不足しなかったのは1割以下」→一度も不足しなかったケースは、最小値が「0」のところです。縦軸の回数を見ると約800回であり、10,000回のうちの8%(1割以下)なのでこれが正しいと分かります。
この問題は、グラフを読み取る問題であり、情報の知識は不要です。
2025年 第2問Bの問3:「起こることがないケース」を選ぶ問題
事前に千円札を20枚用意した状態で集金を行ったとき、「起こることがないケース」を選ぶ問題です。
「最初の1人が千円札で支払ったとしても、途中でおつりが不足するケース」→最初に20枚あり、1人目が千円札6枚を払うと手元には26枚に増えます。 残り9人全員が一万円札(おつり4枚×9人=36枚必要)を出したとしても、26枚 – 36枚 = -10枚となり、途中で不足する可能性はあります。
「千円札で支払った人が5人いて、途中でおつりが不足するケース」→千円札で支払った5人が「集金の最後(6人目〜10人目)」に集中した場合を考えます。 最初に来た5人全員が一万円札を出すと、おつりとして4枚×5人=20枚を消費します。元々あった20枚を使い果たすため、もし6人目も一万円札を出した時点でおつりが不足します。したがって、このケースは「起こり得る」ことになります。
この問題も、情報の知識なしで、簡単な計算で解くことができます。
第2問だけで30点は拾える!
上記したように、2025年の共通テストでは、第2問の全てが情報の知識なしで解くことができます。
第2問の配点は30点なので、これだけで30点拾えることになります。
また、第1問の問4など、情報の知識がなくても解くことができる問題は、他にもあります。これだけで結構な点数が拾えるはずです。
なぜ共通テスト「情報Ⅰ」は常識で解ける問題が多いのか?
共通テストの「情報Ⅰ」が求めているのは、単なる知識の暗記ではありません。
- 日常の事象をモデル化(整理)する力
- 問題文やデータから必要な情報を正確に読み取る力
- 論理的に順序立てて考える力
これらは、いわゆる「国語力」や「日常の論理的思考(常識)」そのものです。
知識ゼロで満点を取るのは難しいですが、「用語を覚えていないから即アウト」ということはなく、問題文をしっかり読み込めば現場で正解を導き出せる設問が大きな配点を占めています。
このため、最初から情報Ⅰを捨てるのではなく、問題文をよく読んで、知識がなくても解けるかどうかを判断しましょう。
まとめ:恐れずに「問題文をよく読む」ことから始めよう!
2025年度の第2問が示すように、情報Ⅰは「難解なプログラミング言語を覚える科目」ではなく、「身の回りの仕組みを論理的に解き明かす科目」です。
- 用語の暗記に終始せず、問題文の条件・文脈をていねいに追う
- 「日常の感覚(常識)」と照らし合わせて選択肢をチェックする
この2つを意識するだけで、情報Ⅰの得点力はぐっと高まります。過去問に取り組む際は、ぜひ「常識で解ける部分」を意識して探してみてください!
知識だけで解こうとすると難しく見える問題でも、与えられた情報を整理すると答えが見つかることがあります。
